山田宰理事の著書の紹介

書名Digital TV-ISDB-T - The Origin, R&D and Growth

~How the taboos were broken to bring out new technology~

著者Osamu Yamada & Fernando Bittencourt 

内容:

1980—2000年代の約30年間は世界の放送技術がアナログからデジタルへ大きく変わった時代だった。地上デジタル放送の開発は米国で1980年代後半から始まっている。その後、欧州、日本においても研究が加速され、1990年代後半以降世界中で3方式の覇権争いに発展した。

 

本書は世界最高性能の日本方式地上デジタル放送方式ISDB-Tの研究開発秘話を記録した世界最初の実話物語であり、歴史、普及活動、研究マネージメント等々について述べている。

 

ISDB-Tは、1970年代に研究開発を進めてきた固定受信用TV多重文字放送と、1980年代に研究を開始した移動受信用FM放送(交通情報サービスVICS)の研究開発がベースになっている(1-3章)。すなわち、ISDB-Tは固定受信のみならず携帯や移動体でも受信可能な方式であり、日本では多くの携帯電話にTV受信機能が搭載されている(4, 5章)。

 

放送方式は一度決定すると変更することは殆ど不可能であるため、方式決定には、その国の技術、経済さらには政治も絡み、非常に複雑で高度な政治判断が求められる。ブラジルではこの重要な決定にあたり、米国方式ATSC, 欧州方式DVB-T, 日本方式ISDB-Tの3方式の比較実験を行い、ISDB-Tが特性上最も優れている事を20004月に世界で初めて明らかにし、20066月にISDB-Tの採用を正式に決定した。その後の日本国内のISDB-T普及協議会DiBEGの努力により、多くの国々でISDB-Tが採用されることとなった(6, 7章)。

 

筆者らは、組織の中には多くのタブーがあり、タブーを破らない限り新たな展開は望めないことを、身をもって経験してきた。若い研究者達へ向けて、デジタル放送の研究開発を通して学んだ研究開発マネージメントの要諦についても述べている(8章)。

 

出版社: Babel Press U.S.A. (2017/5/10)

言語: 英語

ISBN-10: 0989232697

ISBN-13: 978-0989232692

発売日: 2017/5/10

価格:5,040